【第5報】現場からの感謝の声とこれからの被災地支援

2021/04/21

昨年秋のベトナム台風被害は、その大きさにも関わらず、日本ではほぼ報道されませんでした。その中でも被災地に想いを寄せ、ご支援くださった皆様のおかげで、総額5,648,675円の寄付が集まり、3,950世帯へ救援物資を届けることができました。

 

特に被害の大きかったクァンナム省フックソン郡やナムチャーミー郡では、家財道具が流されてしまった家も多く、知人の家に身を寄せる家庭も少なくありませんでした。その中で、皆様からのご支援でお届けした、もち米、毛布、調理器具は住民に大変に喜ばれました。

 

「おかげで、安心してお正月を迎えられます」

「今まで避難先でゆっくり眠ることができなかったけれど、毛布とハンモックが届いて、よく眠れそうです。こんな遠いところまで、来てくれてありがとうございます。」と声をかけて頂きました。

 

改めまして、この度、皆さまの温かいご支援に心より感謝申し上げます。募金は終了しましたが、皆様の想いと共に、私たちは今後も長期的な生活再建支援のために、子どもや女性を対象に、栄養・衛生・感染症予防等の支援を続けてまいります。


【第4報】孤立状態にあったクァンナム省2郡の2800世帯に
救援物資を届けました

2021/02/12

1月中旬から下旬にかけて、ベトナム台風支援の第2フェーズとしてクァンナム省のフックソン郡およびナムチャーミー郡の2800世帯を対象に食料や生活物資等を届けました。

 

 

フックソン郡とナムチャーミー郡は、昨年ベトナム中部を襲った一連の台風の被害が最も大きかった地域です。これらの地域は未だに道路が寸断された状態であり、行政も入れないほど孤立無援となっていました。FIDRが、救援物資を運んだ際にも、道路は寸断されたままでした。山奥の村々を対象とした支援となるため、物資を積んだトラックの故障が相次いだり、一時保管の倉庫がある場所にもたどり着けない道路状況だったりして、実は多くのハプニングがありました。しかし、援助を待っている人たちのため、ベトナム事務所スタッフは決してあきらめず、その場その場で解決策を講じて対応しました。


大型台風から3カ月近くが経った道路の様子

大規模な土砂崩れが発生した現場を通り支援地に向かうFIDRの車両


多くの人に、確実に救援物資を届けるための工夫

アクセスが悪い中でも、確実に救援物資配布の情報が伝わるように、今回は社レベルの行政官への電話を使った呼びかけだけでなく、事前に受け渡し日時と物資リストが書かれたチケットを配布しました。チケットは、配布の4~5日前に郡の行政官に手渡され、郡から社へ、そして社から村へと届けられました。事前に受け渡し場所や時間を住民が知ることができたため、想定していた人数の方全てが食料を受け取りに来ることができました。

また、配布する際に会場に受け取りに来るのは1家族から1名のみで、各自時間をずらし、三密にならないように、各自に1枚1枚マスクを渡しました。待っている間も、混乱しないように、列を離して作る等、住民への予防教育のみならず、予防対策を確実に行いました。手間がかかることではありますが、コロナ禍での対策をしっかりと地道に実施しました。

救援物資の配布用のチケットを持ち微笑む住民

支援物資を受け取った住人


物資内容の工夫

今回は救援物資の内容にも工夫がされました。被害がとりわけ大きな地域のため、家屋倒壊により親類の家に身を寄せている方も多くいます。そのため、もち米や毛布といった食料品や日用品に加えて、調理器具としてのみならず食器としても使えるように鍋を提供しました。


配布された救援物資

救援物資を受け取ったビニールの袋に入れて持ち帰りました


足元の悪い中でも、泥だらけになりながら2、3時間かけて受け取り場所に歩いてくる住民もいました。救援物資を受け取った住民からは、「このような場所にまで支援に来てくれて、ありがとう」という感謝の言葉が聞かれました。

 

ベトナムでは、2月12日から「テト」といわれる旧正月がはじまります。テト正月は、ベトナムで最も大きな行事で、家族が集まって過ごすのが習わしです。この大切さは、ベトナム事務所の現地スタッフにとっても同じだからこそ、避難している中でも、「テト正月を少しでも安心して家族で祝えるように、テト正月までに配布しよう!」という熱い熱い意気込みで実施しました。配布したもち米や食材で家族がテト正月を安心して過ごせるように心から願っています。


【第3報】コロナ禍で支援物資を届けるための工夫

~支援物資配布の舞台裏~

2021/01/15

 

第一報でお伝えした12月の緊急援助活動では、新型コロナウイルスの影響で「FIDRスタッフが入れない」地域がありました。この制限下にあったコントゥム省で、被災された方々へ確実に支援物資を届けるための、FIDRの工夫をご紹介します。

 

まずは、これまで築いてきた人的ネットワークの活用です。FIDR3年前までコントゥム省で子どもの栄養改善プロジェクトを行っており、当時現場スタッフとして働いていた3人に協力を依頼しました。彼らは現在別の仕事に就いていますが、時間を調整してくれ、支援物資の配布にあたることになりました。

 

次に、綿密な事前調整です。128日の支援物資配布を控えた124日、FIDRスタッフは彼らとオンラインで打ち合わせを行いました。そこでは、支援物資配布のスケジュールや工程、当日の各人の役割、問題が起こった際の対応方法、連絡手段などを確認しました。特に問題が起こった際の対処については、様々な状況を想定して話し合いました。

 

支援物資の配布当日、3人は現地の行政官とともに、配布する物資の準備や、住民がソーシャル・ディスタンスを確保して並べるよう印をつける等、配布場所の準備も行いました。住民は配布開始予定時刻の前からやってきており、約400世帯が物資を受け取りました。

 

ソーシャル・ディスタンス確保のために事前にテープでつけておいた目印に合わせて並ぶ住民

支援物資は事前に中身をチェックし、前日までにコントゥム省に運ばれました



支援物資は丈夫な袋に入れて配りました。家屋に損害を受けた住民は、この袋に貴重品を入れるなど、大事に使っているそうです。

物資配布に携わった元現場スタッフのタインさんは、「事前に何か起きたときの対処についても話し合っていたので、当日は手順に沿ってスムーズに進めることができました。お年寄りの方が支援物資を受け取りに来た際に、『ありがとう』と声をかけてくれて、とても嬉しい気持ちになりました。これからもFIDRの活動を通して地元の人を支援していきたいです」と話しています。

 

 

ともに配布にあたった地元行政官の一人、トルック氏からは、「新型コロナ対策をきちんと行った上で、このように迅速に対応してくれた支援団体はFIDRが初めてです。準備から配布まで全てが順序立てて行われていました。コントゥム省を支援してくれたことに深く感謝しています」との言葉をいただきました。


【第2報】現場のスタッフより~緊急支援にあたり心がけたこと~

2020/12/24

第一報でお伝えした通り、126日から9日にかけて、クアンナム省ナムザン郡300世帯とティエンフック郡400世帯、コントゥム省ダックグレイ郡の450世帯の計1,150世帯に、食料や日用品等の支援物資を届けました。

現場の様子、また、支援にあたりFIDRが配慮したことなどを詳しくお伝えします。

 

台風が去った後の家屋の被害

強風により倒れた樹木により、家屋が損壊しました。

洪水により家屋の損壊だけでなく、家財道具も大きな被害を受けました。


確実に支援物資を届けるための工夫

行政の協力を得て配布リストを作成しました。きちんと各家庭に物資が行き渡るように、サインや母印で確認しながら受け渡しを行いました。

物資配付当日は、行政官も一緒になって支援物資の配付を行いました。


子どもや高齢者への配慮

支援物資の中には、小さなお子さん用のミルクも入っていました。受け取ったミルクを早速飲んでいました。

道がぬかるんで滑りやすくなっている中で、高齢の方も安全に物資を受け取れるよう、配布場所まで案内しました。


新型コロナウイルス感染の予防対策

支援物資を住民が受け取りやすいように、種類ごとに並べて手渡していきました。受け取りの際も、ソーシャルディスタンスを意識して活動を進めました。

物資受け取りの際には、手洗いやマスクの着用など、新型コロナウイルス対策を徹底しました。


現地スタッフからのメッセージ

一人一人の被害状況を確認しながら、迅速に支援物資を配布するFIDRの様子を見ていた住民の一人が、「私たちの村のために、ありがとう」という言葉をかけてくださいました。

 

自身の被害は少なく、支援物資配布の対象にはなっていなかったにも関わらず、温かい言葉をかけてくださった住民に、FIDR職員も温かい気持ちになりました。

 

 

被害を受けた住民が元の生活に戻っていけるよう、FIDRは引き続き尽力してまいります。



【第1報】1,150世帯に緊急援助物資を届けました

2020/12/22

今年の秋、ベトナム中部を直撃した7つの台風により、FIDRのプロジェクト地であるクァンナム省では約40,000世帯、コントゥム省では約15,000世帯が被害に遭いました。

FIDRは12月から、3つのステップに分けて段階的に、各自治体、社保健所、女性同盟、青年同盟等の協力の下、緊急援助を実施しています。

 

第1ステップでは、12月6日から9日にかけて、コントゥム省ダックグレイ郡の450世帯、クァンナム省ティエンフック郡の400世帯とナムザン郡の300世帯、計1,150世帯に、食料や日用品等の支援物資を届けました。

 

マスクの配布、アルコール消毒の徹底、ソーシャルディスタンスの確保など、新型コロナウイルスの感染予防を行いながら、迅速に支援物資を配布するFIDR職員の姿に、自治体からも感謝の声が聞かれました。

 

12月下旬現在も、寸断された道路や流された橋の復旧が進んでおらず、アクセスできない被災地域があります。

1月以降に予定している第2ステップでは、このような地域を中心として、被災した方々に仮住居資材や衛生用品を支援していきます。

 

繰り返し使えるFIDRの頑丈な袋を配布

その中に食料など支援物資を入れていきます


受け取りをサポートするFIDR職員

支援物資を受け取り、安堵した表情のお母さんと子ども